2直線の平行と垂直
2直線
\[
y = m_1x + n_1 \cdots ①\\
y = m_2x + n_2 \cdots ②
\]
が平行であるのは, それらの傾きが等しいときであるから
\[
\boldsymbol{ 2直線\ ①,\ ②\ が平行 \Longleftrightarrow m_1=m_2 }
\]
※ \( m_1=m_2,\ n_1=n_2 \) のとき, 直線 ①, ② は一致するが, この場合も, 直線 ①, ② は平行であると考えることにする。
直線 \( ax+by+c=0 \) について, 傾きは \( \displaystyle - \frac{a}{b} \) であるから, 点 \( (x_1,\ y_1) \) を通り, \( ax+by+c=0 \) に平行な直線は \( \displaystyle y-y_1 = -\frac{b}{a} (x-x_1) \) となる。
これを整理すると 点 \( (x_1,\ y_1) \) を通り, \( ax+by+c=0 \) に平行な直線は, \( \boldsymbol{a(x-x_1)+b(y-y_1)=0} \) と表せる。
次に, 2直線 ①, ② が垂直ならば, それらに平行で原点 \( \mathrm{O} \) を通る2直線
\[
y=m_1 x,\ y=m_2 x
\]
も垂直である。これらの直線上に, それぞれ \( \mathrm{P}(1,\ m_2),\ \mathrm{Q}(1,\ m_2) \) をとると, \( \triangle\mathrm{OPQ} \) は, \( \angle\mathrm{POQ}=90^{\circ} \) の直角三角形であるから
\[
\mathrm{OP}^2 + \mathrm{OQ}^2 = \mathrm{PQ}^2 \cdots ③
\]
よって
\[
(1^2+{m_1}^2) + (1^2+{m_2}^2) = (m_1-m_2)^2 \cdots ④
\]
となるので, これを展開して整理すると
\[
m_1m_2=-1 \cdots ⑤
\]
逆に, ⑤ が成り立つと, ④ も成り立ち、③ も成り立つので, 2直線 ①, ② は垂直である。
したがって,
\[
\boldsymbol{ 2直線\ ①,\ ②\ が垂直 \Longleftrightarrow m_1m_2=-1 }
\]
直線 \( ax+by+c=0 \) について, 傾きは \( \displaystyle - \frac{a}{b} \) であるから, 点 \( (x_1,\ y_1) \) を通り, \( ax+by+c=0 \) に垂直な直線は \( \displaystyle y-y_1 = \frac{a}{b} (x-x_1) \) となる。
これを整理すると 点 \( (x_1,\ y_1) \) を通り, \( ax+by+c=0 \) に平行な直線は, \( \boldsymbol{b(x-x_1)-a(y-y_1)=0} \) と表せる。
2直線の平行と垂直
傾き:\( ,\ \) \( y \) 切片:\( ,\ \) \( x \) 切片:
平行または垂直な直線が通る点の座標:( , )
平行な直線:\( ,\ \)その傾き:\( ,\ \)
垂直な直線:\( ,\ \)その傾き:
赤い線が平行な直線で, 青い線が垂直な直線 を示している。
計算過程:
2直線の関係と連立1次方程式
座標平面上の2直線が, 方程式
\[ a_1 x + b_1 y + c_1 = 0 \cdots ① \\ a_2 x + b_2 y + c_2 = 0 \cdots ② \] であるとする。2直線 ①, ② が共有点をもつとき, その共有点の座標は, 方程式 ①, ② を連立させた連立方程式の解である。したがって, この2つの直線の関係と連立方程式の解について, 次のことが成り立つ。
2直線が1点で交わる \( \Longleftrightarrow \) 連立方程式はただ1組の解を持つ
2直線が平行で一致しない \( \Longleftrightarrow \) 連立方程式は解を持たない
2直線が一致する \( \Longleftrightarrow \) 連立方程式は無数の解を持つ
ポイント
連立方程式の解の持ち方, すなわち2直線の関係は, \(a,\ b,\ c\) の比の値の関係とも関連がある。
2直線が1点で交わる \(\Longleftrightarrow a_1 : b_1 \ne a_2 : b_2 \)
2直線が平行で一致しない \( \Longleftrightarrow a_1 : b_1 = a_2 : b_2\ かつ \ b_1: c_1 \ne b_2 : c_2 \)
2直線が一致する \( \Longleftrightarrow a_1 : b_1 = a_2 : b_2\ かつ \ b_1 : c_1 = b_2 : c_2 \)
2直線の関係と連立1次方程式
\( \cdots ① \)
\( \cdots ② \)
2直線の関係:\( ,\ \)
連立方程式の解:
2直線の交点を通る直線の方程式
2直線の交点を通る直線について考える。2つの直線
\[
a_1 x + b_1 y + c_1 = 0 \cdots ① \\
a_2 x + b_2 y + c_2 = 0 \cdots ②
\]
があり, これらは平行でないとする。2直線 ①, ② が共有点 \( (p,\ q) \) をもつとき, 代入したときに等式が成り立つことから
\[
(a_1x+b_1y+c_1) + k(a_2x+b_2y+c_2) = 0 \cdots ③
\]
は, 交点 \( (p,\ q) \) を通る直線を表す。
これが別の点 \( (p',\ q') \) も通るとき
\[
(a_1p'+b_1q'+c_1) + k(a_2p'+b_2q'+c_2) = 0
\]
が成り立つ。ここで, \( a_2p'+b_2q'+c_2 \ne 0 \) とすると,
\[
k = - \frac{a_1p'+b_1q'+c_1}{a_2p'+b_2q'+c_2}
\]
が得られるので, この \( k \) の値を代入すれば, 2点を通る直線の方程式が得られる。
しかし, \( a_2p'+b_2q'+c_2=0 \) の場合, ③は
\[
a_1x+b_1y+c=0
\]
となる。つまり, \( a_2p'+b_2q'+c_2=0 \) となるのは, \( (p',\ q') \) が直線 ② 上にあるときであるが, この場合は交点と \( (p',\ q') \) を通る直線 ② そのものであるから, 上の式は使えない。
したがって, ③ は 2直線の交点を通る直線のうち、直線 ② 以外のすべての直線の方程式を表している。
2直線の交点を通る直線の方程式
\( \cdots ① \)
\( \cdots ② \)
\( k= \)
2直線の交点を通る直線の方程式:
計算過程:
直線に関して対称な点
2点 A, B が直線 \( \ell \) に関して対称であることは, 次の 1. 2. がともに成り立つことと同値である。
- 直線 AB は \( \ell \) に垂直である。
- 線分 AB の中点は \( \ell \) 上にある。
ただし, 直線 \( \ell \) 上の点は, \( \ell \) に関して自分自身と対称となる。
直線に関して対称な点
直線 \( \ell \) の方程式:
点 A の座標:( , )
直線 \( \ell \) に関して点 A と対称な点 B:
計算過程:
点と直線の距離
点 \( \mathrm{A} (x_1,\ y_1) \) と直線 \( \ell \) : \( ax+by+c=0 \) の距離 \( d \) は, \[ \boldsymbol{ d=\frac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}} } \]
証明)
\( a=0 \) のとき,直線 \( \ell \) は \( \displaystyle y=−\frac{c}{b} \) となるので求める距離は \( \displaystyle \left|y_1+\frac{c}{b} \right| \) となり距離公式は正しい。 \( b=0 \) のときも同様。よって,以下 \( a,\ b \) ともに \( 0 \) でない場合を考える。
直線 \( \ell \) 上に点 \( \mathrm{P,\ Q} \) を, \( \mathrm{P} \) と \( \mathrm{A} \) の \( x \) 座標が等しく,\( \mathrm{Q} \) と \( \mathrm{A} \) の \( y \) 座標が等しくなるようにとる。
\( \mathrm{PA} =p ,\ \mathrm{QA} =q \) とおくと, \( \mathrm{PQ} =\sqrt{p2+q2} \) である。
\( \triangle\mathrm{APQ} \) の面積 \( S \) は, 底辺と高さの取り方を2通りで表すことにより
\[
S = \frac12pq \\
S = \frac12 d \sqrt{p^2+q^2}
\]
と表せるので \( \displaystyle \frac12pq = \frac12 d \sqrt{p^2+q^2} \) より, \( \displaystyle d=\frac{pq}{\sqrt{p^2+q^2}} \) となる。
ここで, 直線 \( \ell \) の方程式から
\[
p = \left\vert \frac{−c−ax_1}{b}−y_1 \right\vert = \frac{1}{|b|} |ax_1+by_1+c|
\]
となり, 同様にして
\[
q = \left\vert \frac{−c−by_1}{a}−x_1 \right\vert = \frac{1}{|a|} |ax_1+by_1+c|
\]
となるので,これらを上式に代入して整理すると
\[
d=\frac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}_{//}
\]
点と直線の距離
直線 \( \ell \) の方程式:
点 A の座標:( , )
点 A と直線 \( \ell \) の距離:
計算過程: